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日仏東洋学会

本会の目的は「東洋学に携わる日仏両国の研究者の間に、交流と親睦を図る」ことです。

日仏東洋学会会則
第1条 本会を日仏東洋学会と称する。
第2条 本会の目的は東洋学に携わる日仏両国の研究者の問に、交流と親睦を図るものとする。
第3条 本会の目的を実現するために次のような方法をとる。
(1) 講演会の開催
(2) 日仏学者の共同の研究及びその結果の発表
(3) 両国間の学者の交流の促進
(4) 仏人学者の来日の機会などに親腔のための集会を開催する
(5) 日仏協力計画遂行のために学術研究グループを組織する
第4条

事務局は会計幹事の所属する機関内におく。

第5条 本会会員は本会の目的に賛同し、別に定める会費をおさめるものとする。会員は正会員および賛助会員とする。
第6条 正会員および賛助会員の会費額は総会で決定される。
第7条 本会は評議員会によって運営され、評議員は会員総会により選出される。評議員の任期は2年とするが、再任を妨げない。
第8条 評員会はそのうちから次の役員を逝ぶ。これらの役員の任湖は2年とするが、再任を妨げない。
会長 1名 代表幹事 1名 幹事 若干名 会計幹事 1名 監事 2名
日仏会館フランス事務所所長は、本会の名誉会長に推薦される。会員総会はその他にも若干名の名誉会長・顧問を推薦することができる。
第9条 会長は会を代表し、総会の議長となる。代表幹事は幹事と共に会長を補佐して会の事務を司る。会計幹事は会の財政を運営する。監事は会の会計を監査する。
第10条 年に一回総会を開く。総会では評議員会の報告を聞き、会の重要問題を審議する。会員は委任状又は通信によって決議に参加することができる。
第11条 本会の会計年度は3月1日より2月末日までとする。
第12条 この会則は総会の決議により変更することができる。
第13条 以上の1条から12条までの規定は、1989年4月1日から発効するものとする。
日仏東洋学会の概要
(2019年4月1日現在)


会 長:
中谷英明


名誉会長:
Cécile SAKAI


顧 問:
興膳宏


評議員:
Didier DAVIN・Marc-Henri DEROCHE・濱田正美・岩尾一史・彌永信美・門田眞知子・加藤純章・木島史雄・熊谷誠慈・京戸慈光・牧野元紀・松原康介・御牧克己・森由利亜・中谷英明・大谷暢順・田中文雅・土屋昌明・山畑倫志・飯島孝良・中島隆博


代表幹事:
小関武史


幹 事:
Didier DAVIN・Marc-Henri DEROCHE・濱田正美・岩尾一史・彌永信美・門田眞知子・木島史雄・熊谷誠慈・松原康介・御牧克己・山畑倫志


監 事:
Didier DAVIN・森賀一惠


会計幹事:
手嶋英貴


会計幹事補佐:
長谷川琢也


広報委員会委員:
亀山隆彦



日仏東洋学会の沿革


  

 日仏東洋学会(Société Franco-japonaise d’études orientales)は、1924年創立の日仏会館に拠点を置く関連学会の一つで(現在は26の関連学会を数える)、日仏会館を活動拠点としているが、独立した学術団体である。この学会で「東洋」というのは、北アフリカ、中近東から極東・日本までを含んだ広い意味の「東洋」であり、会には「東洋学に携わる日仏両国の研究者の間に、交流と親睦を図る」という会の目的に賛同する者は誰でも会員として参加することができる。フランス語(または日本語)が堪能であるということは、条件ではない。

 当学会は、1955年、高名なインド学者だった Louis Renou 氏(1896〜1966)が日仏会館のフランス学長だった時代に、初期の東洋文庫の発展に大きな貢献があった石田幹之助氏(1891〜1974)を会長に、また日本のインド学の指導的立場にあった辻直四郎氏(1899〜1979)を副会長として発足した。当初の目的は、「日仏両国の東洋研究者の間の学術交流、情報交換であり、具体的には『日本の東洋学文献目録』Bibliographie de l’Orientalisme japonais の刊行が主な活動だった」(日仏東洋学会『通信』第1号 p. 1-2 )。この文献目録は第一巻(1955 premier semestre)および第二巻(1955 [suite]-1956)が刊行され、国会図書館や日仏会館図書室などに保存されている。1962年まで編集の活動が継続された。しかしその後は、著名なフランス人東洋学者が来日して日仏会館で講演する際に石田会長が参加する、など散発的かつ個人的な活動はあったが、学会としては大きな展開はなかった。石田氏が亡くなった後は辻氏が会長の任に当たったが、やがて高齢の会長を補佐するため、東洋文庫の理事長を務めた榎一雄氏(1913〜1989)が会長代理となった。

 そうした時期がしばらく続いた後、著名な中国学者 on Vandermeersch 氏がフランス学長だった1983年に、中国学、仏教学の福井文雅氏、日本美術史の秋山光和氏、インド文法学の大地原豊氏を中心とした当時の若手の研究者の間で学会をあらためて活発化しようという機運が高まり、彌永昌吉前日仏会館理事長が発起人代表となって同年7月22日に再建総会が開かれて、会長・榎一雄氏、代表幹事・福井文雅氏の体制で、新生の日仏東洋学会として生まれ変わった。当初の会員数は65名、次年度の1984年には120名ほどに増加した。

 新しく再開された日仏東洋学会の主な活動は、1976年から3年ごとに日本とフランスの両国で順番に開催された、日仏会館および関連諸学会を母体とする「日仏コロック」に参画することであった。

1985年の第4回日仏コロックから参加し、85年10月8日〜11日にはパリのユーゴ会館で「道教と日本文化」をテーマに Kristopher Schipper 氏と福井文雅氏を中心に大きな学会が催された。

次の1988年の第5回コロックは日本で開催され、日仏東洋学会は全10部会のうち二つの部会を立てて参加した。すなわち東洋学第一部会は、同じ Schipper 氏と福井氏によって「中国と日本の宗教的交流の歴史」をテーマとしてセミナーハウス一碧(伊東市)において10月4〜7日に開催され、東洋学第二部会は、羽田明氏、大地原豊氏および Louis Bazin 氏が組織して、10月4〜8日に京都国際会館において「中央アジア諸言語文書」をテーマとする会議を行なった。第二部会におけるすべての発表は、Documents et archives provenant de l'Asie centrale : actes du Colloque franco-japonais organisé par l'Association franco-japonaise des études orientales affiliée à la Maison franco-japonaise de Tokyo et l'Université de Paris III, 261p., Kyoto, 1990として刊行された。この会議は中谷英明Avertissementに述べるように、発表と討論の大半をフランス語で行うという前例のない会議となった。

さらに、1991年の第6回コロックは、パリで、「仏教の各地域文化への適応」を主題とした学会が、フランス側では Louis Bazin, Gérard Fussman, Kristopher Schipper の各氏、日本側では秋山光和、福井文雅、中谷英明、山田利明の各氏によって組織された。この学会の成果は、後に Bouddhisme et cultures locales : quelques cas de réciproques adaptations : actes du colloque franco-japonais de septembre 1991 édités par Fukui Fumimasa et Gérard Fussman, [Études thématiques, 2], Paris, EFEO, 1994 として出版されている。

その後、1995年に第7回、1998年に第8回のコロックが開催されたが、それを最後に「日仏コロック」自体が終了したため、これに参加する機会は失われている。

この間、1985年には秋山光和氏が、また1990年には大地原豊氏がフランスの碑文・文学アカデミーの客員会員に選出されている。また1987年には彌永信美が著書『幻想の東洋-オリエンタリズムの系譜』(青土社 1987)によって渋沢・クローデル賞(本賞)を受賞し、1994年11月には御牧克己氏(日本学士院会員)がコレージュ・ド・フランスにおいて連続講演を行った。

 榎会長は1989年11月に逝去し、それにともなって1990年3月から新たに福井文雅氏が新会長に就任し、興膳宏氏が代表幹事となった。

1995年10月には、パリで第1回の「天台学国際会議」が コレージュ・ド・フランスのBernard Frank を中心として開催され、本学会のメンバーも参加した。

 1998年4月には興膳宏氏が新会長に就任し、中谷英明が代表幹事の職に就いた。

 1999年10月には、日仏会館で開催された国際学会(Early 17th - Late 20th Centuries) を共催したその成果は Islam in politics in Russia and central Asia : early eighteenth to late twentieth centuries, edited by Stéphane A Dudoignon; Komatsu Hisao, London, New York: Kegan Paul, 2001 として刊行されている

 2004年、御牧克己氏はEPHEに招聘され、Les cinq sciences discutées par un auteur tibétain du XVe siecleと題する一連の講義を行った。

2005年6月には、日本学術会議第20期の改組に当たって同会議内に設置されていた「東洋学研究連絡委員会」が消滅したことを受け、これを憂慮した東方学会の呼びかけによって同所に本部を置く「東洋学・アジア研究連絡協議会」が結成された。本学会も他の30有余の学会とともにこれに参加し、中谷英明はそのシンポジウム「東洋学・アジア研究の新たな振興をめざして」Part II(2014年12月、東京大学法文2号館)において講演し、その夏に文科省から出た教員養成系・人文社会科学系学部の廃止や転換を促す方針に対して、新しい人文・社会科学の在り方を提案した。また2015年12月の同協議会幹事会において中谷は、1873年パリ第1回会議以来140年の伝統を有する国際アジア・北アフリカ研究会議(ICANAS)が2007年の第38回大会を最後に休会が続いている異例の事態についての報告を行い、日本のイニシアチブによってこの会議の復活が可能であることを知らせた。

2008年9月26~28日に日仏会館において開催された日仏交流150周年記念 日仏関連諸学会総合シンポジウム「日仏学術交流のルネッサンス」において、中谷英明は本学会を代表して報告を行った(報告集は『日仏学術交流のルネッサンス報告論文集2009年、日仏会館、pp.161として刊行)。

2009年1月には、本学会と東京外国語大学アジア•アフリカ言語文化研究所(AA研)が共催した「第5回総合人間学国際シンポジウム: 意識を作る・認識を変える——よりよい地球共同体を求めて」が日仏会館で開催された。「総合人間学の構築」は、F.ブローデルによって設立されたフランスにおける人文・社会科学系最大の研究所(専任研究員250人)であるパリ人間科学館Maison des Sciences de lHomme)とAA研とが学術協力協定を締結して実施した5年間の共同研究プロジェクト(主査:中谷英明 Maurice Aymardである。2010年2月には、同じく日仏会館において本学会との共催のもとにその「第6回シンポジウム:知性と感情の彼方(かなた)-行為と言葉と心-」が開催された。またこのプロジェクトの枠内でパリの人間科学館において開かれた3回のワークショップ(Colloque Sience Généralisée del’Homme de Paris: I. Ecologie des transferts épistémiques dans la constitution d’une Histoire de l’Humanité, 25 - 26 mars 2008 / II. Formation of Consciousness, Change of Cognition. 2 - 3 April 2009 / III. From reciprocity to altruism: What are the advantages of evolving positive minds? 15-16 June 2010)にも、丸山徹、中谷英明ら本会会員が参加した。 これらの成果は、『総合人間学叢書』 Generalized Science of Humanity Series として公開されている。

2012年4月には、東洋文庫・日仏会館・フランス極東学院と本学会の共催で、東洋文庫ミュージアム「東インド会社とアジアの海賊」展記念シンポジウムが日仏会館で行なわれた(その成果は東洋文庫編『東インド会社とアジアの海賊』東京、勉成出版、2015年、にまとめられている)。

2014年10月3日~5日には、京都大学白眉センター/コレージュ・ド・フランス/フランス国立極東学院の主催で、本学会の賛同も得た国際学会「仏教と普遍主義——アジアの哲学史と宗教史への視線」が京都(アンスティテュ・フランセ関西−京都、京都大学人文科学研究所、フランス国立極東学院・京都支部)で行なわれ、彌永信美がコーディネーターを務めた他、彌永を含め5人の本会会員が招待講演を行った。

2015年6月16~17日にはコレージュ・ド・フランスにおいてJean-Noël ROBERT氏が主宰する国際シンポジウムHIEROGLOSSIE I, Moyen Âge latin, monde arabo-persan, Tibet, Inde が開催され、中谷英明が招待講演を行った。

2015年度からは本会の懇親会的あり方に加えて学術的な側面をさらに強化しようという取り組みが始まっている。

 2016年3月の総会で、興膳会長が退任し、新たに中谷英明が会長職に就任した。それにともない、彌永信美が代表幹事を務めることとなった。

 本学会の機関誌である『通信』は現在(2016年6月)までに39号が刊行され、多くの論文が掲載されている。詳細は『通信』のページを参照願いたい。

(文責・彌永信美、中谷英明)