調整班研究概要 |
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研究目的
研究計画・方法
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研究目的 1. 調整班研究「本文批評と解釈」の主研究目的は、中国・インド・イスラエルの古典学を中心に、日本・チベット・イスラム・西洋などの古典学とも連携して、本文批評と解釈の新しい理論と実際を提示することである。過去2年間は6回の研究会を催し、それぞれの分野の研究の現況について情報交換をして有意義であったが、第3・4年度はそれらの研究会を継続開催すると共に、その成果を踏まえて、『講座古典学』の一巻に集約発表して行くことに主力を注ぎたい。 研究計画・方法
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研究目的 ディジタルテクノロジーの急速な発達にともない,人文学の領域でもコンピュ−タを利用した研究が日常化しつつある。古典研究においても事情は同じで,ディジタル資料の蓄積が進むとともに,これを使った研究がこれまでには見られなかったタイプの研究成果を挙げつつある。しかし,一方では,当然情報処理の技術を用いるべきような分野においても技術の修得の困難さなどから利用の進んでいない面があるし,また,利用している場合でも研究者各人がそれぞれ異なった仕方でコンピュータを使用していて,十分な情報の共有が実現していないのが実情である。 このような状況を打開するために,古典学における情報処理技術の普及と共有,基本的データの共有のための基盤の整備,古典学に必要な新たな情報処理技術の開発のためのニーズに関する情報の取りまとめなどを本調整班の研究の目的とする。 特定領域研究「古典学再構築」のための情報ネットワークを提供し,情報インフラストラクチュアとしての役割を果たす,という前期3年間における役割は,総括班の広報委員会による独自のサーバ(http://www.classics.jp)の立ち上げによって,ftpサービス以外の部分はそちらに移行することとなった。 研究計画・方法 デジタル技術の古典学への有効利用を促進するため,「古典学研究のための情報処理概説」とでも仮題できる,従来,文献学徒への手引書類が稀である統計処理,文献翻刻とデータ表現形式,文字列処理,文字コード等の問題を扱い,単なるマニュアル・ハウツー本ではなく,思想のある,基礎から学べる書籍を出版するための研究・執筆・編集作業を行う。 「オンライン国際共同研究」などを可能とするような新たな情報技術に必要な仕様についての討論を行い,XML等の技術において古典学研究のためには不足している点を明らかにして,古典学に必要なデータ表現形式の新たな仕様の策定につなげることを目指す。 また,本調整班の計画・公募研究のみでなく,「古典学再構築」全体の研究者にも開かれた研究集会を開催して,できる限り情報処理技術の共有のための機会をもうけていく予定である。 |
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全世界の多様な古典世界の各領域の緊密な連携に立って、それぞれの文献学的成果を集約しつつ、古典作品を媒体として、極力新たな視点からそれを捉え直し、「現代に生きる古典」としての新たな可能性を引き出すことを目指すものとする。 今般の特定領域研究においては、これまで各領域ごとの古典研究において蓄積されてきた成果をふまえて、領域横断的な比較と、より高次の総合との試みにはじめて本格的に取り組もうとするものである。従来ややもすれば、各古典領域は、それぞれに完結した世界として扱われ、他の領域については、必要なかぎりにおいての一面的・間接的な理解にとどまりがちであった。しかし、きわめて広範な諸分野において、いずれも高度な水準にある研究者と研究成果を有するという、希有な状況に恵まれたわが国において、それらの間の有機的な連携を図り、成果を相互につきあわせることによって、全く新たなインターディシプリンの可能性がさまざまに生起することが期待され、すぐれて重層的な研究の展開が期待される。特に、これまでの各分野ごとの研究においては手薄にならざるを得なかった各古典領域の周辺部分や相互の交渉・影響・伝承関係などの解明に、飛躍的な進展が望まれる。またその成果は、固有の各古典研究そのものにとっても、きわめて大きな意義をもたらすものであることは言うまでもないだろう。 われわれの調整班は、こうしたはじめての試みを効果的に遂行するために、具体的な共同研究を通じて方法的基礎を確立することに努めるものとする。これまで2年間以上にわたり研究会を重ねつつ、古典世界を共通の基盤にのせて、真に有意義な比較・総合を行いうる場と具体的手続きを再検討する作業をつづけてきた。その間、研究班員相互に固有の研究に精通しあうとともに、そうした見通しの立ちうる問題をめぐる共同研究・討議を通じて、同時に方法的一般化への有効な示唆を探ることに一定の成果を得てきた。 本年度も3回の全体研究会と2回程度の研究打合せ会を予定し、研究発表と討論の積み重ねを通じて、共同研究成果としてまとまりのあるものとすることを目指す。各回とも数名の発表者による研究発表とそれにもとづく討論を行うもので、今後は共通テーマを設定することで、さらに分野横断的研究への可能性と方法を具体化することにも努める。中心的なテーマとしては、国家と宗教、自然観と技術観、人間論、言語論、時間・空間論などが念頭に置かれているが、当面の重点課題としてまず「魂」論を取り上げる。各古典領域においてこの問題をめぐる特色ある論点の提示や相互比較論にもとづいた討論を通じて、議論のさらなる展開と視野の拡張を期するものとする。議論はおのずから人間観や死生観などに及び、現代世界における緊要な課題とも接点をもったものとなろう。また、これと並行して、複数領域にまたがる相互交渉・影響・伝承関係などに関わる研究課題を適宜設定し、比較的小さな必要規模でのグループ研究の活性化にも努めるものとする。さらに、特定課題を設定した小レポートの持ち寄りと、それにもとづく意見交換も、ひきつづき組織的に行っていく予定である。 これらの成果は、随時ニューズレター『古典学の再構築』に中間報告的に公表していくとともに、さらなる相互検討を重ねたうえで、『研究論集』的な著書のかたちでの出版・刊行を目指している。また、期間中のいずれかの機会に、当調整班として独自の「シンポジウム」を企画開催するものとする。 |
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外国文化は常に日本文化の変容と充実のきっかけとなり、日本文化は外国文化の消化と吸収を通じて、その形を大きく変えてきている。特に、中世は、中国・朝鮮・西欧の各種文明が日本に流入してきた時代であり、それぞれの国での日本研究もすすみ、日本に於ても、世界に目を見開いた時代である。つまり、中世は世界の中の日本という位置が明確に現れる時期である。この中世の外国文化との接触については、中国禅宗の文化の影響、朝鮮の文化の影響、キリスト教を中心としたヨーロッパ文化の影響など、それぞれの分野で研究が積み重ねて来ている。しかし、研究者の数が少なく、それぞれの分野全体が明らかになってはいない。特に、禅宗とともに勃興した五山文化が日本の文化に与えた影響は、日本文化の根底にまで至っており、その研究範囲は非常に広いものになる。朝鮮文化の影響についても、総合的な検討は未だなされていない。キリシタン資料については、基本的な文献的研究の積み重ねの段階である。これらの中世における外国文化の影響を総合的に扱った研究もほとんど皆無に近い状況である。これらの各方面に関しては基礎的な研究だけでも緊急に進めてゆく必要がある。本調整班で中世に重点を置いているゆえんである。 中世以前と以後についても、検討すべき問題は多い。 奈良から平安時代に掛けては、中国文学・文化がどのように影響を与え続けてきたか、また律令制度をはじめとする中国の制度が日本の社会にどのように受け入れられてきたかなども明らかにしておく必要がある。 中世以降、受容された各種文化がどのような形で日本で消化されていったのか、あるいはどのような点が捨てられていったのかという問題は、日本文化の特徴を探る上で注目すべきテーマである。さらに、幕末から顕著となる、ヨーロッパ文明の影響は、日本の外国文化の受容史を論じる上でも、また、近代日本の思想・文化の形成過程を明らかにするためにも、十分に検討して行かねばならない。 各研究班では、以上のような観点に立ち、それぞれの班独自のテーマを扱う。調整班としては、四回の調整班会議を開催し、会議における討議を通じて、相互の意志疎通ができあがってから、研究分野の重複を避け、不足分野を補うなどの調整を行う予定である。 本年度、もしくは来年度には、シンポジウムにおいてこれらの問題を取り上げる予定である。その討議の成果を利用して、「日本における外国文化の受容(仮題)」というテーマで、外国文化の受容の一貫した歴史を、一冊の本にまとめる準備を始める計画も立てている。 |
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研究目的 平成11〜12年度において,本調整班はヨーロッパにおける古典の役割を研究テーマに据え,歴史的にどのような形でその古典が受容されてきたのかを検討した。メンバーに多少の変化を生じた平成13〜14年度の本研究は,その成果を受け継ぐ形で,古典の受容という側面の中でももっとも重要な古典教育の諸問題に照準を合わせて研究を進める。ただし、本研究は古典学それ自体の展開を目指すものではなく,古典学の社会への貢献のための基礎作業を担うものである。その研究の特性上,古典学にたいする批判的な議論をも吸収・検討し,それを古典学にフィード・バックさせることによって,古典学自体のより一層の強固な基礎付けに寄与することをめざす。 研究計画・方法
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